2025/04/24 11:12

精麻とは何か?

精麻(せいま)は、大麻草(おおあさ)の茎から採れる繊維で、古代から神事や生活の中で使われてきた日本の伝統素材です。神道では「祓い清め」の力があるとされ、神具や注連縄(しめなわ)、横綱の綱などにも使用されています。

今回は、精麻の基本的な作法と種類について、知っておきたい豆知識をご紹介します。

精麻の作法|麻の天地と「ひきなでる」

精麻には扱い方に決まりがあります。これは単なる繊維ではなく、神聖な存在としての敬意を表す作法です。

麻の天地とは

  • 地(あたま):根っこの方

  • 天(しっぽ):葉っぱの方

精麻を扱う際は、あたまが左にくるように配置します。割くときも、あたまからしっぽに向かってさするようにします。この動作を「ひきなでる」と呼び、麻を柔らかくし、麻そのものが喜ぶとされています。

麻の種類|「麻」と呼ばれる植物は60種以上

現在、「麻」という言葉は植物から採れる繊維の象徴として使われており、実際には60種類以上の植物が「麻」と呼ばれています。代表的な麻の種類は以下の通りです。

名称原料植物主な用途
ヘンプ大麻(おおあさ)注連縄、ご神具など
リネン亜麻(あま)洋服、テーブルクロス
ラミー苧麻(ちょま)医療用繊維
ジュート黄麻(こうま)コーヒー豆袋、ロープなど

大麻(おおあさ)と日本人の暮らし

かつて「麻」といえば「大麻(おおあさ)」を指していました。大麻は日本人にとって非常に身近な存在であり、人名や地名にもその名残が見られます。戦前までは、神事だけでなく、衣類、縄、屋根材など、日常生活のあらゆる場面で活用されていました。

大麻は『日本人の営みを支えてきた農作物』であり、精麻はその神聖なエネルギーを宿す繊維として、今もなお大切にされるべき存在です。